ブランデーの価格の違いはどうやって決まるの?
よく飲むという方はご存知かもしれませんが、ブランデーには「VSOP」や「ナポレオン」など様々な等級があります。この等級の違いによって価格が違う理由はなんとなく分かりますが、同じ等級でもブランドによって大きく価格が違うことがあるのはご存知でしょうか?
手頃な価格のモノもあれば、高くて手が出せないものもある、価格の幅が大きいブランデー。その価格が決まるポイントは一体何なのでしょう? 今回は、ブランデーの価格を左右すると言われているモノについて触れてみたいと思います。
価格を左右するもの その1
価格が左右されている1つ目、それは「原産地」です。原産地や畑の質によって価格が上下される傾向があります。 フランスのコニャック地方で造られたブランデーを「コニャック」、アルマニャック地方で造られたブランデーを「アルマニャック」といい、それら以外のフランス産のブランデーを「フレンチブランデー」といいます。
また、りんごのブランデー「カルヴァドス」は、フランスのノルマンディー地方で造られるもので、この地域以外のものは「アップル・ブランデー」と呼ばれます。
フランス以外にもブドウやワインの名産地である地中海周辺やオーストラリア、日本でもブランデーは造られています。 ブランデーといえばフランスですが、フランスでは1713年にルイ14世によって、ブランデーを保護する法律が作られ、特に「コニャック」、「アルマニャック」については1909年以降、法律によって名称の使用が厳しく制限されています。
このような呼称制限は、品質を保護するためにあるので、製造方法が定められていたり、厳しい品質基準が設けられたりしています。 例えば、コニャックのぶどう畑の土壌は以下のように分けられています。
3.ボルドリ(Borderies)
4.ファン・ボア(Fins Bois)
5.ボン・ボア(Bons Bois)
6.ボア・ゾルディネール(Bois Ordinaires)
このようにコニャックのぶどう畑の土壌は6つに分けれており、グランド・シャンパーニュなど、北の地区に行くほど生産性が少なく希少性が高くなっているのが特徴です。
また、アルマニャックの場合も以下のように分けられています。
2.テナレーズ(Tenareze、中央部に位置)
3.オー・アルマニャック(Haut-Armagnac、東部および南部に位置)
それぞれに土壌の質がまったく異なっています。こちらもその年に作られる数は各地区によって違いがあります。
さらに、カルヴァドスは産地によって製造方法が異なります。産地は以下の3つです。
2.カルヴァドス・デュ・ドンフロンテ(Calvados du Domfrontais)
3.カルヴァドス
「カルヴァドス・デュ・ペイ・ドージュAC」(AC= ペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ:フランスの品質保証)は、限定地域内で収穫されたりんごを原料とし、コニャックと同じ単式蒸留器の使用が義務付けられており、ペイ・ドージュが最も優良なお酒を造るといわれています。
「カルヴァドス・デュ・ドンフロンテAC」は、ドンフロンテ地区内の原料に、30%以上の梨ワイン(ポワレ)を混合し、半連続式で蒸留することが条件とされています。
また、「カルヴァドスAC」は、上2地区周辺で製造されるもの、または、それらをブレンドしたもので半連続式蒸留により造られます。
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価格を左右するもの その2
価格を左右するものの2つ目は「原料」です。
ブランデーの原料と聞くとブドウですが、ブランデーは、「果実酒を蒸留したもの」なので、ブドウ以外にもチェリーを使った「キルシュ」や洋ナシを使った「ポワール」、ラズベリーを使った「フランボワーズ」などもあります。
この中でもブドウを原料とするブランデーで、貴重な品種を使っているものは価格が高くなります。
例えば、コニャックであれば原料のブドウのほとんどがユニブラン(サンテミリオン種とも)という品種です。高級ブランデーとして知られる「ヘネシー」や「レミー・マルタン」は先ほど紹介した「グランド・シャンパーニュ」や「プティット・シャンパーニュ」で作られたユニブランを使用しているため、価格が高いのですね。
また、コニャックと同じく呼称制限があるアルマニャックのブドウ品種は、ユニブランを主に、フォルブランシュ、コロンバールなどといった品種です。
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価格を左右するもの その3
価格を左右するものの3つ目は「熟成年数」です。熟成年数が長いほど価格は高くなります。
ブランデー好きでないと、「熟成年数はどうしたらわかるの?」となる方もいると思いますが、ブランデーの熟成年数は調合された中で最も若いブランデーの熟成年数によって、「VSOP」や「ナポレオン」などといった名が付けられます。
しかし、厳格な基準があるのは、「コニャック」と「アルマニャック」のみ。それ以外のブランデーはこの基準には当てはまらないので、注意が必要です。
また、コニャックとアルマニャックでは、アルマニャックの周期が1ヶ月ずれているため、同じランクでも熟成年数が少し違います。
・アルマニャック:毎年5/1~翌年4月末日
さらに、この熟成年数は「コント」という単位で表され、上記の周期を1単位とします。
蒸留した年は「コント00」と表され、コニャックの場合、翌4/1~翌年3月末日までを「コント0」、次の4/1からは「コント1」と続き、4/1を迎えるたび、コント数が繰り上がります。
しかし、「コント7」以上の基準は定まっていないため、これ以上の表記についてはメーカーが独自に基準を設けている場合が多いようです。
ここで、熟成年数によってなんという名前がつけられているかを見てみましょう。「VO」や「ナポレオン」などは聞いたことがあるではないでしょうか。
※[]内は熟成年数、アルマニャックとコニャックで熟成年数が異なる場合は、ア:はアルマニャックのコント数、コ:はコニャックのコント数、という形で表します。
・V.S.(Very Special)[ア:コント2以上、コ:コント2以上]
・V.O.(Very Old)[ア:コント4以上]
・V.S.O.P.(Very Superior Old Pale)[コント4以上]
・ナポレオン(Napoleon)[ア:コント5以上、コ:コント6以上]
・X.O.(Extra Old)[ア:コント5以上、コ:コント6以上]
・オル・ダージュ(Hors d’age)[コ:コント6以上]
・エクストラ(Extra)[ア:コント5以上、コ:コント6以上]
この基準をクリアしていれば、熟成度の表記ができます。
ただし、蒸留所によって、より厳しい基準を設けている場合もあるようです。
参考までに、VSOP以上のクラスの平均的な熟成年数を以下のようになっています。
つまり、この基準の厳しさの違いが同じ等級でもブランドによって価格が違う要因の1つというわけです。
まとめ
ブランデーの価格はピンからキリまで様々ですが、やはり、貴重な原料を使っていたり、手間隙かけて造られていたりするものほど高価なものになります。これはどのようなものにでもいえることですね。また、ブランデーには、陶器ボトルの「リモージュ」や「ルイ13世」や「ヘネシー リシャール」など高級ブランデーに用いられているクリスタルガラス容器の「バカラボトル」などがありますが、特にこの「バカラボトル」はボトル自体が高価なもので、ボトルのみでも高く買い取ってもらえることが多いようです。
ブランデーの価格が気になったら、査定を専門の会社にお願いしてみましょう! もし高く買い取ってもらえるなら、飲まずに買い取ってもらうことも考えてみては?