ヘネシー(hennessy)とはどんなブランデー?おすすめの飲み方やおつまみも
本記事では、コニャック「ヘネシー」とは何か、魅力や特徴、種類、ヘネシーのおいしい飲み方や選び方を解説します。
コニャックの王様「ヘネシー」とはどんな歴史のブランデー?
ヘネシー(Hennessy)とは、250年以上続く老舗コニャックブランドです。
そもそもコニャックとはブランデーの種類の一つで、フランス北部のコニャック地方で生産されたものを指します。なお、コニャック地方で作られたブランデーが全て「コニャック」と名乗れる訳ではなく、そこからさらに厳しい規定をクリアしたものしか、コニャックとして流通・販売することはできません。
ヘネシー社は、そのような生産地と製法に厳しい基準が設けられたコニャックを、1765年から製造し続ける老舗高級ブランドの一つです。王室を虜にするほどの品質から現在では世界中の人々に愛され、日本でもとても良く知られています。
ジャズヘネシーとヘネシーの違い
ジャズヘネシー(Jas Hennessy & Co.)とはヘネシー社の正式名称で、過去に販売されていたコニャックの中には上記の会社名が記載されているものがあります。これは旧ボトルと呼ばれるもので、特に買取市場では現行のヘネシーと区別するために「ジャズヘネシー」と呼ばれています。また、ジャズヘネシーは、ヘネシー社がジャズ・ミュージシャンのマイルス・デイヴィスと共同で開発したブランドであり、ヘネシー社の中でも高級なラインナップに属しています。
味わいについてジャズヘネシーは、ヘネシーと比べると、より高級で贅沢な味わいが特徴となっています。
一方、ヘネシーは、ヘネシー社の代表的なブランドであり、世界中で愛されているコニャックの一つ。樽で熟成されたブランデーをブレンドして作られており、フルーティーで芳醇な香りと、豊かな味わいが特徴です。
ジャズヘネシーは流通年により異なるものの、高額査定の対象になることがあるため、自宅にあるときは以下の区別方法を元に確認してみましょう。
- 「Jas Hennessy & Co.」のロゴがある
- ボトルが緑がかっている
- キャップが金色
ヘネシーのこだわりと魅力・特徴
ヘネシーは芳醇で上品な香りとほのかな甘味が特徴です。この特徴を生むために、ヘネシーでは原材料から蒸留・熟成、ブレンドまでこだわりぬいてコニャックを作っています。1. 原材料であるブドウを厳選
ヘネシーではユニ・ブランという白ブドウを原料にしており、以下の4地域の第一級の畑で取れたもののみを厳選しています。なお、ブドウは地域により味が異なる点も特徴です。- グランド・シャンパーニュ
- プティット・シャンパーニュ
- ボルドリ
- ファン・ボア
2. ヘネシーらしさのベースとなる蒸留
コニャックは蒸留を2回行い、通常は初留(1回目)を3回、再留(2回目)を1回行います。この蒸留時に出てくる液体(蒸留液)にも種類があり、それをどのような手順で蒸留するかによりコニャックの味わいに差ができます。ヘネシーでは、ヘネシー式と呼ばれる方法を採用し、クリアすぎない状態に仕上げるのが特徴です。
3. 樹齢100年以上のオークを使った樽で熟成
出来上がったブランデー原液は、樹齢100年以上のフレンチオークのみを使用した樽に注がれ、数年から時には数百年かけて熟成します。長い年月をかけることで、タンニンなどのオーク成分がブランデーに移り、深い味わいが生れるだけでなく琥珀色に変わっていきます。4. 30万樽に及ぶ原酒をストック
ヘネシーでは、上記の工程を経て出来上がったオー・ド・ヴィー(原酒)を30万樽ほど保有しているとされています。中には200年以上前の原酒もあるようです。豊富な原酒があるからこそ、ヘネシーらしいコニャック作りを可能としています。5. マスターブレンダーの存在
原酒がどれだけ豊富でも、それらの相性を考慮して組み合わせられなければ良質なコニャックは生れません。ヘネシーでは1765年より、洗練された味わいを作り出すブレンド技術が代々、マスターブレンダーに受け継がれています。現在は8代目を迎え、ヘネシーの発展と成長を支えています。6. 格別の「パラディ」と「リシャール」
ブレンダーの技術を惜しみなく注いだ特別なコニャックが、「パラディ」と「リシャール」です。これらには100種類以上の原酒が含まれ、中には熟成が100年を超える古酒もブレンドされています。個性の異なる原酒が完璧に調和されていることから、世界中の愛好家から高い支持を得ています。7. 誰でも楽しめる価格帯の広さ
ヘネシーは高級ブランドのイメージが強いものの、実は低価格帯から高価格帯まで、さまざまな値段のコニャックを販売しています。例えば、V.S.なら4,000円前後で購入可能です。全てコニャックでありながら、庶民から富裕層まで楽しめるラインナップの豊富さも魅力の一つになります。8. 芸術的で品のあるボトルデザイン
中身だけでなく見た目もブランデーの価値を高めるものの一つです。ヘネシーX.Oやヘネシー リシャールに代表されるような、くびれと流線のある芸術的なボトルデザインは、それだけで人々の注目を集めるには十分でしょう。限定デザインボトルのヘネシーは、生産個数が少ないため買取市場でも高額となることがあります。
コニャックの格付けの仕組み
ブランデーは熟成によりブランデーらしい香りや味わいが生れるため、熟成年数はブランデーの価値基準の一つとなっています。この価値基準(格付け)の原点を作ったのが、モーリス・ヘネシー氏です。ではコニャックのランクはどのように決まるのか、現在でも使われている仕組みを解説します。1. コニャックの熟成年数はコントで表す
コニャックの熟成年数はコントと呼ばれる単位で表し、当年4月1日から翌年3月末日までを1周期としてコントを数えていきます。蒸留した年はコント00となり、実際に熟成を開始した(樽に詰めた)年がコント0(熟成1年目)です。以降、1周期ごとにコント1(熟成2年目)、コント2(熟成3年目)と熟成年数を数えていきます。
なお、コニャックはコント2以上でなければ販売できません。
2. コニャックの等級(ランク)
コントを元にコニャックでは以下の格付けにより、ランクが厳格に分けられています。これらの基準はフランスのAOC(原産地呼称制度)により管理され、さらにコニャックはBNIC(全国コニャック事務局)の基準に則って審査されています。等級(クラス) | 基準コント |
スリースター | コント2以上 |
V.S. | コント2以上 |
V.S.O.P. | コント4以上 |
ナポレオン | コント6以上 |
X.O. | コント10以上 |
オル・ダージュ | コント10以上(X.O.より高品質のもの) |
3. 等級(ランク)は若い原酒に合わせる
コニャックのランクは若い原酒のコントに合わせます。例えば、コント2・5・20の原酒をブレンドしているのであれば、コント2に合わせてランクを表記しなければいけません。4. コニャック以外のブランデーは等級(ランク)が異なる
以上のクラス分けはコニャックのみに適用されます。アルマニャックやカルヴァドスにも格付け制度はあるものの、コント数などが異なるため注意しましょう。なお、上記以外のブランデーには厳格な格付け制度が存在しないため、それぞれのブランドにより熟成年数と名称の組み合わせが異なります。
《種類別》ヘネシーのおいしい飲み方
限定品なども合わせると、ヘネシーにはいくつもの種類があります。そのため、ここでは一般的・代表的なものに絞り、いくつか種類を紹介します。1. ヘネシーV.S
V.Sは4~7年程度熟成させた原酒を使った、ヘネシーの基本的なタイプになります。熟成年数が短くアルコールを強く感じるものの、コニャックらしい香りも楽しめ、カクテルなどにも使いやすいです。商業施設や通信販売でも手軽に購入できます。2. ヘネシー ブラック
ブラックは淡色系の原酒を35種類以ブレンドし、若者向けに開発されたコニャックです。蒸留酒と果物やハーブを組み合わせて作る新感覚カクテル「ミクソロジーカクテル」のベースに使われていることから、海外で特に人気があります。ジャスミンやオレンジの花を思わせるアロマが特徴です。3. ヘネシー ピュアホワイト
ピュアホワイトは、熟成期間が数年のものから何十年ものまでの原酒をブレンドした豊かな風味と軽やかな味わいが特徴です。名前のとおり、透き通る黄金色をしています。なお、正規品は終売のため国内では並行輸入品のみ販売しています。4. ヘネシーV.S.O.P プリヴィレッジ
プリヴィレッジは、何十種もの原酒をブレンドした世界的に人気のあるコニャックです。シナモンやホワイトペッパーなどのスパイシーな香りと、はちみつや甘草を思わせるほのかな甘みが特徴になります。5. ヘネシーV.S.O.P フィーヌ シャンパーニュ
フィーヌ シャンパーニュは、1976年に登場した日本限定ブレンドです。厳しい基準をクリアした60種類の原酒をブレンドし、繊細で洗練されていながら奥深い味わいを実現しました。(※)日本のコニャックの代名詞的存在
6. ヘネシーX.O
X.Oは1870年に、世界で初めて「eXtra Old」の名が与えられたコニャックです。上位4地区の厳選したブドウを原料とする原酒が、約100種類ブレンドされています。芳醇な香りと力強い味わいながら滑らかな口当たりが特徴で、長く続く余韻にも浸れます。7. ヘネシー パラディー
非常に高い格付けの原酒を含む100種類のブレンドにより生れた、ヘネシーの傑作がパラディーです。名称はヘネシーの熟成庫のパラディセラーに由来します。熟成とブレンドにより生れる複雑で奥行きのある香りや気品のある味わいが特徴で、いつまでも続く余韻も楽しめます。8. ヘネシー パラディー アンペリアル
パラディー アンペリアルは、1818年にロシア皇帝アレクサンドル1世のために作ったコニャックへのオマージュにより生まれました。華やかなアロマはもちろん、ボトルにはバカラのクリスタルグラスを使い、特別さも別格です。9. リシャール ヘネシー
ヘネシー家の価値観を体現するものとして、創業者リシャール ヘネシーの名を冠したコニャックです。100種類に及ぶ原酒をブレンドし、中には100年以上熟成された貴重な古酒も含まれます。バニラ・スパイス・花束を連想させる香りとシルクのような舌触りが特徴とされています。
ヘネシーをおいしく飲むためのポイント《割り方》
ブランデーは香りを楽しむお酒といわれます。そのため、ヘネシーが手に入ったら、まずはストレートで味や香りを楽しむのがおすすめです。ここでは、ヘネシーのおいしい飲み方を紹介します。
1. ストレート
高品質のヘネシーは、ストレートが特に合う飲み方です。30分程度で飲み切れる量をステム(脚)のついたグラスに入れ、香りと色を楽しみながらゆっくりと味わいましょう。その際、温度は常温くらいで冷やさないのがおすすめです。適温にすることで、味と香りを十分楽しめます。なお、アルコール度数は40度程と高いため、チェイサーを用意しておきましょう。
2. ロック
ロックはグラスに大きめの氷を入れ、そこにブランデーを注ぐ飲み方です。ブランデーらしさだけでなく、時間の経過とともに氷が溶けて味わいの変化も楽しめます。なお、ロックでは使う氷は上質なものにするのがおすすめです。3. 水割り・ソーダ割り
アルコールに強くないなら、水やソーダとヘネシーを割って飲んでみましょう。比率はブランデー対水が1:1(トワイスアップ)や1:2などあるものの、飲みやすい比率でかまいません。なお、水で割るときは、水道水ではなくミネラルウォーターを使いましょう。4. カクテル
ブランデーは、カクテルのベースとしても人気があります。ブランデー・ホワイトキュラソー・レモンジュースを2:1:1の比率で混ぜる、サイドカーは家庭でも作りやすいです。また、寒い日には、ブランデーを浸した角砂糖をスプーンに乗せて火をつけ、燃えた後にコーヒーに溶かして飲む、カフェ・ロワイヤルもおすすめです。
ヘネシーをおいしく飲むためのポイント《おつまみ》
ブランデーはおつまみの中でも、チョコレートやドライフルーツなど甘みのあるものがよく合います。おすすめのおつまみを紹介します。1. チョコレート
チョコレートとブランデーは定番の組み合わせです。チョコレートがブランデーをまろやかにして贅沢な味わいを楽しめます。なお、合わせるならカカオ60~70%など、少しビターなものがおすすめです。2. ドライフルーツ
チョコレートに次ぐ、ブランデーの定番おつまみがドライフルーツです。洋菓子ではドライフルーツのブランデー漬けが使われるものもあることから、香りと味の組み合わせには定評があります。甘みの強いレーズンやアプリコットがおすすめです。3. ジャム
お酒の定番おつまみのクラッカーをブランデーと合わせるときは、ジャムをつけるとよいかもしれません。果実原料のジャムは、同じく果実原料のブランデーとも相性抜群です。4. ナッツ
ブランデーを水割りやソーダ割りで飲むなら、少し塩気の強いナッツをお供にしましょう。風味の強いブランデーに負けないよう、旨味の強いカシューナッツやピスタチオを合わせるのがおすすめです。5. チーズ
ワインのおつまみとして人気のあるチーズは、ブランデーにもおすすめの組み合わせになります。合わせるときは、癖の少ないフレッシュタイプよりも、香りと旨味の強いゴーダやチェダー、パルミジャーノ・レッジャーノ、ウォッシュチーズなどがおすすめです。初心者のためのヘネシーの選び方
ヘネシーを初めて選ぶ人の中には、そもそもブランデーが初めてな人も多いかもしれません。手頃な価格で買えるものはV.Sですが、余裕があるならX.O以上のものから始めるのがよいかもしれません。1. 初めてのブランデーにもヘネシーがおすすめの理由
ブランデーはアルコール度数が高いため、熟成年数が若いものはどうしても刺激を強く感じてしまいます。そのため、初めてであれば販売基準が厳格化されているコニャックから試してみると失敗が少なくなります。中でもヘネシーは歴史に裏打ちされた品質があり、日本でも正規品を購入しやすい点からもおすすめです。
2. お手頃価格なのはヘネシーV.S
お手頃価格なのは、ヘネシーV.Sです。価格も一般的な大きさの瓶で4,000円前後なため無理のない範囲で購入でき、ブランデーの雰囲気を手軽に楽しめます。また、ボトルは一般的なサイズ以外に小瓶もあり、ブランデーそのものが口に合うか心配なときにも選びやすいです。3. おすすめはヘネシーV.S.O.PやX.O
なお、ブランデー本来の味や香りを十分に楽しみたいなら、十分熟成されたX.O以上がおすすめです。特に初めて飲むブランデーは、今後のブランデーのイメージ全体を左右するためなるべく予算は奮発して質のよいものから始めましょう。そのため、ヘネシーもV.S.O.PやX.Oから始めると、ブランデー本来の味わいを楽しめます。
希少なヘネシーは買取市場でも高額査定の対象
ヘネシーはブランデーの中でもコニャックの老舗ブランドとして250年以上、世界中のファンに愛され続けています。香り・味わいに優れる以外にも、ボトルデザインの美しさと独創性、ロックやストレートだけではなく様々な飲み方で楽しめる部分もファンを魅了する要素の一つです。限定品やバカラボトルなどは希少性の高さから、買取市場でも高額査定の対象となることが多くあります。自宅や実家に海外土産の古いヘネシーがあるなら、一度査定に出してみるのもおすすめです。
まとめ
今回は、ヘネシーについてご紹介いたしました。ヘネシーを購入する際には、より詳細な情報があると、飲む時の楽しみも増し、より充実した時間を過ごせるでしょう。ヘネシーは歴史が深く、種類と飲み方も豊富です。ヘネシーと合うおつまみもシンプルなものばかりで、非常に飲みやすいお酒と言えます。価格や好みを考え、自分に合う1本を見つけて、素敵なヘネシーライフを楽しみましょう。