お酒で水分補給はNG!?アルコールの吸収・代謝の仕組みなども解説!
そのため、ビールやワイン、ウイスキーなどのお酒を楽しんだら、たっぷりと水分補給することが大切です。飲酒前後の水分補給は二日酔いの予防にもつながるため、水や白湯で水分を補給しましょう。
本記事では、お酒で水分補給するのがNGとされる理由や、知っておきたいアルコールの吸収・代謝の仕組みを解説します。
お酒で水分補給してはいけない
お酒で水分補給してはいけない理由は2つあります。お酒にも水分が含まれていますが、お酒をたくさん飲んでも水分補給にはなりません。- アルコールの利尿作用により、補給した以上の水分が排出されるため
- アルコールに含まれる成分を分解するときに水分が消費されるため
例えば、ビールを10本飲んだとすると、尿を通じてビール11本分の水分が排出されるといわれています。(※)お酒を飲めば飲むほど体内の水分が失われるため、過度な飲酒は脱水症状を引き起こしかねません。
また、アルコールは吸収・代謝される過程で水分を消費します。アルコールに含まれるアセトアルデヒドの分解に水が必要なためです。アルコールの吸収・代謝の仕組みについては、次の項目で詳しく解説します。
※参考:厚生労働省.「健康のため水を飲もう講座」
アルコールの吸収・代謝の仕組みとは
お酒に含まれるアルコールの吸収・代謝の仕組みは、胃で20%、小腸で80%が吸収され、その後肝臓で代謝されます。アルコールの代謝にも2つのプロセスがあり、一次代謝ではアルコールからアセトアルデヒドに、二次代謝ではアセトアルデヒドから酢酸へと分解されます。お酒を飲むと体内の水分が失われる理由の一つも、この吸収・代謝の過程で水が消費されるためです。ここでは、お酒を飲む人が知っておきたいアルコールの吸収・代謝の仕組みを解説します。
①アルコールの吸収と分解
1つ目は、アルコールの吸収と分解の仕組みです。お酒のアルコール成分は、厳密にはエチルアルコールと呼ばれます。エチルアルコールを摂取すると、まず食道を通って胃に入り、ゆっくりと時間をかけて吸収されます。胃で吸収されるエチルアルコールの割合は全体の20%です。残りの80%は小腸で急速に吸収されます。空腹時にお酒を飲むと酔いやすいのは、空っぽの胃から小腸へエチルアルコールがどんどん流れ、一気に吸収されるためです。
吸収されたエチルアルコールは、胃や小腸の毛細血管を通って血中に溶け込み、肝臓に送り届けられます。肝臓では、2段階に分けてエチルアルコールが処理され、一次代謝でまず毒性の強いアセトアルデヒドに、二次代謝で人体に無害な酢酸に分解(代謝)されます。
②一次代謝
2つ目は、一次代謝の仕組みです。一次代謝では、エチルアルコールが毒性の強いアセトアルデヒドに分解されます。 アセトアルデヒドは、頭痛や動悸、不快感など、二日酔いの症状の原因とされる物質です。エチルアルコールの一次代謝には、ADH(アルコール脱水素酵素)やMEOS(ミクロゾームエタノール酸化系)などの酵素が使われ、この過程で体内の水分が消費されます。③二次代謝
3つ目は、二次代謝の仕組みです。二次代謝では、ALDH(アルデヒド脱水素酵素)の働きにより、アセトアルデヒドを人体に無害な酢酸に分解します。ALDHには、ALDH1(1型)とALDH2(2型)の2種類があり、日本ではALDH2の活性が弱い人が多いとされています。お酒に弱い日本人が多いといわれるのは、この酵素の違いによるものです。
アルコールの代謝過程で生じた酢酸は、最終的に体細胞で水と二酸化炭素に分解され、汗や尿、呼気などを通じて排出されます。前述のとおり、お酒を通じて補給される水分よりも汗や尿として出ていく水分の方が多いため、しっかりと水分補給が必要です。
お酒で水分補給ではなく「水or白湯」
水分補給をするときは、水か白湯、経口補水液などがおすすめです。お茶やコーヒーなどで水分補給しても、あまり効果はありません。お茶やコーヒーには、利尿作用のあるカフェインが含まれているため、水分を補給しても体外に排出されてしまいます。また、冷たい水や一度に大量の水を飲んだりすると体に負担が掛かります。喉が渇いたら夏場でも常温の水か、人肌程度に冷ました白湯を飲む習慣を身に付けましょう。
お酒を飲むときは、テーブルの上にチェイサーを用意しておくとこまめに水分補給できます。チェイサーには、口の中の刺激をリセットしてお酒の味や香りを際立たせる効果もあるため、特に日本酒やウイスキーを飲む人におすすめです。
お酒を飲んだ後もたっぷり水を飲むことが大切
飲酒中だけでなく、飲酒した後もたっぷりと水を飲むことが大切です。厚生労働省によると、1日に必要な水分は2.5リットルです。そのうち1.3リットルは食事中か体内で生成される水分で補うことができますが、残りの1.2リットルは意識して補給しなければなりません。(※1)
お酒を飲むと利尿作用やアルコールの代謝により、体内の水分が急速に失われます。喉が渇いたら、すでに脱水症状が進行している証拠です。飲酒後は通常よりも多めに水分を補給しましょう。
また、飲酒後の水分補給は二日酔いの予防にもつながります。体内の水分が不足すると、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの濃度が高まり、つらい頭痛や吐き気などの症状が出やすくなります。
ただし、一度に130cc程度以上の水を飲んでも、水分が体に吸収されません。(※2)お酒を飲んだ日の就寝前、翌日の起床時などに分けてたっぷり水を飲むと、二日酔い症状の緩和に効果的です。
※参考1:厚生労働省.「健康のため水を飲もう講座」
※参考2:厚生労働省.「熱中症を防ごう」
お酒による脱水を予防するために
お酒による脱水を予防するためにできることは2つあります。- 水分を補給するときは電解質も一緒に摂取する
- 飲酒直後の入浴は避ける
電解質を含む食品はたくさんあり、例えば、おつまみで人気のきゅうり(もろきゅう)や枝豆、トマトなどがあります。また、飲み会の締めにみそ汁やあさり汁を飲むと、しっかりと電解質を補給できます。
脱水予防のためにもう一つ気を付けたいのが、飲酒後の入浴です。入浴すると体内の水分が急速に失われ、脱水症状が悪化する可能性があります。お酒を飲んだら、なるべく2~3時間ほど間隔を空けてから入浴しましょう。
お酒で水分補給はNG! 飲酒前後は水や白湯で脱水予防を
お酒で水分補給するのはNGです。お酒に含まれるアルコール成分には利尿作用があるため、補給した水分よりも多くの水分が排出されてしまいます。また、アルコールの分解・代謝の過程でも水を消費するため、飲酒後はたっぷりと水分を補給しましょう。水分を補給するときは、常温の水か人肌程度に冷ました白湯をおすすめします。きゅうり(もろきゅう)や枝豆、トマトなどの電解質を含むおつまみを食べると、より効果的に水分を補給することが可能です。
お酒で水分を補給する危険性を知り、こまめに水を飲む習慣を身に付けましょう。