初心者におすすめの麦焼酎10銘柄と贈り物におすすめの5銘柄を紹介
麦焼酎とはどんなお酒?
麦焼酎とはどんなお酒なのか、芋焼酎や米焼酎との違いはどういうところにあるのか、解説しましょう。
蒸留酒なので低カロリー
麦焼酎は麦を主原料としたお酒です。麦を麹とともに発酵させて醸造し、蒸留して製造されるため、ウイスキーやウォッカと同じように、蒸留酒に分類されています。糖分がほとんどなく、ビール、日本酒などと比較すると、低カロリー。プリン体も少ないため、ヘルシー志向の強い人々からも注目されているお酒です。芋や米など他の焼酎との違いは?
焼酎には主原料の違いで、いくつかの酒類があります。麦焼酎以外のおもな焼酎は芋焼酎、米焼酎。 これらの焼酎の中でもっとも飲みやすいのが麦焼酎です。原料の麦もクセが少なく、麦焼酎の味や香りもクセが少ないため、飲みやすい焼酎といっていいでしょう。 芋焼酎の特徴は甘みのある香りです。さつまいもという糖度の高い穀類を主原料としているので、その甘みは芋焼酎にも反映されます。 米焼酎は主原料が米で、発酵に使われる麹の原料も米なので、米と水だけできたお酒です。米の素朴な味わいと風味は米焼酎の魅力に通じる部分があります。麦焼酎の選び方
麦焼酎にもさまざまな種類があります。どうやって選べばいいのか、いくつかのポイントを解説します。
壱岐焼酎、大分焼酎など産地で選ぶ
麦焼酎は産地によって、使われる麹の種類や製造方法が違うため、個性的な焼酎もたくさん造られているのです。いくつかの代表的な焼酎を紹介しましょう。壱岐焼酎
長崎県壱岐島の壱岐焼酎は麦焼酎のルーツとされています。米麹を使って発酵させるため、麦の香ばしさと米麹の甘みとがブレンドされて、深みのある味わいが生まれるのが特徴です。大分焼酎
大分焼酎の大きな特徴となっているのは麦麹が使われること。原料も麦、麹も麦なので、雑味の少ないすっきりとした味わいになっています。麹の種類で選ぶ
焼酎を造る上で大きな要素となっているのが麹。麹には種類がいくつかあり、代表的なものは黒麹と白麹の2酒類です。近年、黄麹を使った焼酎も増加。 黒麹を使った麦焼酎はコクとキレがあり、重厚な味になる傾向があります。 白麹を使った麦焼酎は黒麹を使ったものと比較すると、麦の風味を活かしたまろやかな口当たりになる傾向があります。 黄麹は軽やかな飲み口とフルーティーな香りを持っているところが特徴的です。甲類乙類で選ぶ
焼酎には甲類と乙類とに分けられ、その分類は麦焼酎にも当てはまります。 焼酎甲類は連続式蒸留器によって蒸留されたもの。連続して蒸留を行うために高純度のアルコールを抽出することができますが、その過程で原料である麦の味わいや風味も飛んでしまうため、無色透明でクセのない味わいになります。アルコール度数は規定によって36%未満。酎ハイ、サワー、お湯割り、カクテルなどに適しています。 焼酎乙類は単式蒸留器によって蒸留されたもの。1度だけの蒸留なので、麦の持っている風味や味わいが残っています。アルコール度数は規定によって45%以下。ロック、水割りなど、風味をしっかり味わえる飲み方がおすすめです。初心者におすすめの麦焼酎10銘柄
すっきりとした味わい、口当たりの良さなど、麦焼酎は焼酎初心者にもおすすめできるお酒です。手頃な値段で入手できる代表的な10銘柄を紹介しましょう。
三和酒類、いいちこ25度
「麦焼酎といえばいいちこ」といわれるほど知名度の高い麦焼酎がいいちこ25度です。大分県の総合醸造企業、三和酒類が製造している大分焼酎で、厳選された大麦と大麦麹と天然の清冽な水だけで造られています。まろやかかつさっぱりした味わいが特徴。キャッチフレーズは「下町のナポレオン」。手軽に飲めるところも、多くの人々に支持されるポイントです。八鹿酒造、銀座のすずめ白麹
八鹿酒造が製造している大分麦焼酎で、原材料は大麦と大麦麹と水のみ。焼酎造りに適した白麹を使い、仕込み水として、九重連山から湧き出る伏流水を地下250メートルという深さから汲み上げて使用。複数の原酒を独自の技術でブレンドすることで、豊かな香りとまろやかな味わいの麦焼酎を完成させました。食中、食後のお酒としても、カクテルとしても楽しめる都会的なオールマイティーの麦焼酎です。「銀座のすずめ」とは、かつて銀座において、時を忘れ友らと粋に酔い、語り、夜を明かした酔人たちをすずめになぞらえて、酔人たちをすずめになぞらえて命名したとのこと。黒木本店、中々
麦の甘みをしっかり封じ込めた宮崎の麦焼酎。麦独特のほんのりとした甘みと香ばしさと上品な味わいが特徴的です。20度と25度の2種類がラインナップ。プレミアム麦焼酎と呼ばれている「百年の孤独」の原酒となる焼酎で、長期熟成が可能なしっかりとした味わいも備えています。大きな魅力となっている甘みを味わうには、お湯割りが最適。さらにまろやかな味を楽しむことができます。老松酒造、赤閻魔
老松酒造は1789年に大分県日田市で誕生した歴史ある酒蔵です。日田天領水という名水で有名な土地で、「老松」という名前も松の老木が植えられた老松神社の泉から湧き出る清冽な水が酒造りに適していることからつけられました。もともとは日本酒の酒蔵で、焼酎造りが始まったのは1970年から。上質な水は焼酎造りでも活かされており、麦の香り高い上品な甘みとキレのある味が特徴となっています。閻魔という名前は「古い酒蔵には何かが眠っていて、人が近づけない場所がある」という言い伝えにちなんだもの。謎めいたところもこの焼酎の魅力といっていいでしょう。佐藤酒造、佐藤
鹿児島の佐藤酒造が製造している麦焼酎です。1906年創業の佐藤酒造はもともとは佐藤黒、佐藤白などの芋焼酎を手掛けているメーカーで、麦焼酎の販売は2007年から。麦焼酎造りの歴史は浅いのですが、芋焼酎造りのノウハウも見事に活かして、開発を開始しました。 麦の香ばしさと甘みを活かしながらも、かすかな苦味がアクセントとなった絶妙のバランスの麦焼酎を完成。すっきりとした飲み口が評判になり、焼酎ファンの注目を集めました。720ml入りのボトルの他に1800ml入りのボトルも販売されているので、飲む人数に合わせて購入するなど、場面に合わせて楽しむこともできます。玄海酒造、むぎ焼酎壱岐
麦焼酎の発祥の地と呼ばれている長崎県の壱岐島で造られている壱岐焼酎を代表する焼酎。大麦を3分の2、米麹を3分の1の割合で混ぜ合わせる伝統的な製造方法によって生まれる天然の甘みが大きな魅力となっています。口当たりはまろやかで、麦の甘みをしっかり堪能できる焼酎です。ストレート、水割り、お湯割りなど、麦焼酎本来の味を感じられる飲み方がおすすめ。薩摩酒造、神の河
1936年設立の鹿児島県の薩摩酒造は芋焼酎のメーカーとして有名ですが、麦焼酎のラインナップも豊富です。神の河と書いて、「かんのこ」と読みます。この神の河は原料として二条大麦を100%使用して、ホワイトオーク樽で3年以上熟成されて造られているところがポイント。長期間にわかる熟成によって、まろやかな味わいとバニラのような豊かな香りを持った焼酎が誕生。飲みやすくて、リーズナブルであることから、若い層にも支持されています。重家酒造、ちんぐ白麹仕込み
麦焼酎発祥の地で造られる壱岐焼酎の麦焼酎です。1924年創業の重家酒造によって、壱岐産の大麦と米とで造られています。伝統的な製造方法にこだわって、木製のこしきで麦と米を蒸して、白麹で発酵させ、瓶で仕込んで貯蔵して、熟成された焼酎です。フルーティーな香り、優しい麦と白麹の甘みがやみつきになります。商品名の「ちんぐ」とは壱岐の方言で「大親友」という意味。この味を知ったら、一生の付き合いになるということでしょう。高千穂酒造、黒麹高千穂黒ラベル
1902年創業の宮崎の高千穂酒造が製造している麦焼酎です。阿蘇山麓、白川水源の天然水を使用して、麦を黒麹で発酵させて、昔ながらの減圧蒸留という製造方法を施すことによって、軽くてすっきりとした味わいを持った焼酎に仕上がりました。黒ラベルの他に白ラベルもあり、こちらはコクと強い甘みがあって、個性が際立つ濃厚な味わいになっています。初心者でも飲みやすいのは白ラベルです。二階堂酒造、吉四六
1866年に創業された大分の二階堂酒造は日本で初めて麦麹による麦焼酎を製造したことで知られています。この酒造が製造するのが二階堂 吉四六。 吉四六という名前は大分の民話の主人公にちなんでつけられていて、「きっちょむ」と読みます。麦と麦麹、白麹をミックスして、長期間にわたって貯蔵熟成。まろやかな口当たりとすっきりした味わいのバランスが絶妙です。瓶入りと壺入りの2つのタイプがありますが、壺に入っていると、中で熟成が進むメリットがあるので、壺入りがおすすめです。贈り物におすすめの麦焼酎5銘柄
麦焼酎は庶民的なお酒というイメージがありますが、高品質の個性的な麦焼酎もたくさんあります。ここでは代表的な5銘柄を紹介しましょう。
黒木本店、百年の孤独
1885年創業の宮崎県の黒木本店によって造られた麦焼酎。全国的な知名度も高く、高い評価を得ています。同じ黒木本店の麦焼酎、中々を原酒として使用。蒸留した焼酎をホワイトオーク樽で長期熟成し、さらに3年熟成と4年熟成と5年熟成のものを絶妙のバランスでブレンドしてあります。深みのある複雑な香りと深みのある旨みが特徴です。水割りにすると、穀物の甘みが際立ち、お湯割りにすると、重厚なコクを堪能できます。四ッ谷酒造、兼八
1919年創業の大分県の四ッ谷酒造による麦焼酎。兼八と書いて、「かねはち」と読みます。大きな特徴は麦チョコレートに似ていると形容されるビターかつスイートな味わいとローストした麦の強い香り。大麦ではなく裸麦を原料にしているところがポイントです。自家製の常圧蒸留器、細心の注意をはらった精製など、麦へのこだわりと高い技術が光ります。篠崎、千年の眠り
江戸時代後期に創業された福岡県の老舗酒造、篠崎が手掛けている麦焼酎の古酒です。厳選された大麦を原料として、2度蒸留した後に樫の樽で長期熟成。長い年月を経ることで、琥珀色をした焼酎に変化します。千年の眠りという名前は篠崎の近くを流れている筑後川が別名、千歳川と呼ばれていることにちなんだものです。千年間流れ続けている川のように、時代を超えて愛される焼酎を育てたいという思いがこめられているとのこと。深みと奥行きのある味には時間というスパイスもたっぷり染みこんでいます。壱岐の蔵酒造、二千年の夢
長崎県壱岐島の約500年の歴史を持つ麦焼酎造りの伝統の技術に新たな手法をプラスして誕生した麦焼酎です。大麦2、米麹1で仕込む古くからの製造方法を踏襲しながらも、スペインから取り寄せたシェリー樽で長期熟成させて製造。濃厚な米麹の旨味とシェリー樽の香りが溶けあうことで、独特の深みのある麦焼酎が誕生したのです。光酒造、夢想仙楽
1959年に光安酒造株式会社から独立して焼酎作りを始めた光酒造は福岡県にある酒蔵。独立後、焼酎造りの研究開発を続けて完成させたのがこの夢想仙楽です。厳選された麦と黒麹による原酒をスペインから取り寄せたシェリー酒の樫樽で5年以上貯蔵。シェリー樽の香り、琥珀色の液体、まろやかで深いコクのある味が特徴的です。夢想仙楽という名前は中国の秘境に住む仙人が夢に思い描いた銘酒「夢想仙楽酒」に由来しています。麦焼酎のおすすめの飲み方
麦焼酎はすっきりとした味わいが特徴的なお酒であり、さまざまな飲み方ができます。おすすめの飲み方を紹介しましょう。
ストレート
焼酎の味をダイレクトに味わえるのはストレートです。常温のままで飲むか、冷蔵庫で冷やして飲むかは好みによって。麦焼酎の原酒など、アルコールが40度以上の場合には、よく冷やして飲むのもおすすめです。 初心者の場合はストレートはややハードルが高いでしょう。麦焼酎はアルコールの低いものでも25度前後はあり、原酒の場合は37度から45度とアルコールが高くなるため、そのまま飲むと、刺激が強いからです。ストレートで飲む場合には少しずつ飲むこと、一口ごとにチェイサーとして水を飲むことをおすすめします。時間をかけて楽しんで下さい。ロック
たっぷり氷を入れたロックグラスに透明の麦焼酎を入れると、見た目にも清涼感があります。焼酎をそそいだあとは、マドラーで軽く数回、混ぜてから飲んでください。 ポイントとなるのは氷です。できることならば、大きめの氷を用意して下さい。市販のロックアイスもおすすめです。製氷機で作った氷は溶けやすいので、すぐに焼酎が薄くなってしまいます。溶けにくい氷が用意できない場合は、少なめの量をそそいで、早めに飲むように心がけることがおいしく味わうコツです。水割り
初心者におすすめできる飲み方のひとつが麦焼酎の水割りです。アルコール度数が低くなり、口当たりもマイルドになります。 焼酎と水の割合は焼酎6に対して水4、もしくは半々くらいがおすすめです。氷は好みによってどちらでもかまいませんが、氷を入れる場合は、氷が溶けて薄くなることも考慮して下さい。 ポイントとなるのは割り水です。ミネラル分の少ない軟水を使うと、焼酎の風味と味をそのまま味わえます。お湯割り
焼酎の本場である九州ではお湯割りが好まれる傾向があります。特に冬のお湯割りは体も温まり、リラックス効果も期待できるでしょう。お湯で割ることによって、麦焼酎独特の香りが立ち上がり、嗅覚での楽しみも増します。 お湯割りを作るときに注意しなければならないのは、先にお湯をそそいでおくこと。焼酎を先に入れて、ぐつぐつと沸いている熱湯をそそぐと、高温で香りが一気に飛んでしまいます。焼酎とお湯の割合は水割りと同様に、焼酎6に対して、お湯4、もしくは半々くらいがいいでしょう。ソーダ割り
ソーダ割りは甲類の焼酎で作るものというのがかつては焼酎の飲み方の常識とされていましたが、近年はより自由な飲み方が一般的になり、本格焼酎をソーダ割りで楽しむ人が増えてきました。 口当たりのいい麦焼酎とソーダの相性も良く、好みでミントやライムを入れるなど、さまざまなアレンジが可能です。麦焼酎をソーダで割る場合は、焼酎をやや少なめにするのがポイント。焼酎に炭酸をそそぐときに、炭酸が抜けてしまわないようにゆっくり混ぜていきましょう。まとめ
長い歴史を持っている麦焼酎ですが、伝統の技法を守りながらも、新たな試みをすることで、おいしい焼酎がたくさん生まれています。独自の製造方法の開発、海外からの専用樽の輸出、蒸留技術の研究、原材料の配合、原酒のブレンドなどなど。各地の焼酎からは焼酎造りにかける蔵元の情熱も伝わってきます。 この記事を参考にして、好みにあった焼酎を見つけて、それぞれの飲み方で楽しんで下さい。