アブサンとは?どんなお酒?度数や味わい、禁断のお酒といわれる理由を解説!

こんにちは! 今回は、禁断のお酒といわれるアブサンについてご紹介します。
約100年前、中毒症状が問題となり一部の国で製造販売が中止されていた伝説のリキュール、アブサン。販売禁止後、その存在は小説の中や地下で『禁断の酒、魔酒、飲むマリファナ』といった表現で語り継がれていました。
しかし現在ではアブサンの販売も解禁され、似たお酒も数多く生まれています。映画や小説、漫画にも出てくるこの魅力的なお酒の正体は一体どんなものなのか、詳しく見ていきましょう。
アブサンとは?どんなお酒?
アブサンは、独特なグリーンの色味が特徴のハーブリキュールです。アルコール度数が高く、刺激的な風味があります。18世紀にスイスで薬草酒として誕生し、『緑の妖精』とも称され、19世紀末の芸術家や作家たちに愛されました。
アブサンの原料や度数

アブサンの主成分はニガヨモギで、アニスやフェンネル、コリアンダーなどのハーブとともに蒸留されます。これらの材料により独特の香りと風味が生まれます。
アルコール度数は40%から90%と幅があり、一般的なリキュールよりも高めです。伝統的な製法では、ハーブを漬け込んだ後に再蒸留することで雑味を取り除き、深みのある味わいを実現します。
19世紀のフランスでは、ワインより安価な酒として人気を博し、大衆に広まりました。
アブサンの味わいや香り
アブサンの香りは、甘いアニスの芳香をメインにしながらも、ニガヨモギのほろ苦さとスパイシーな各種ハーブの複雑な香りを感じることができます。口に含むと、まずアニス独特の甘さが広がり、次第に苦味と爽やかな清涼感が押し寄せてきます。ストレートで飲むとアルコール度数も高いため、強烈な刺激がありますが、水を加えると白濁し、まろやかで奥深い味わいになります。
この「ルーシュ」と呼ばれる白濁化はアブサンの魅力の一つです。後味には独特のスパイス感と微かな苦味が残り、時間をかけて楽しめる酒として、多くの芸術家に愛されました。
アブサンの名前の由来
アブサンという名前がついた経緯にもいくつかの説あり、一番知られているのは、主成分であるニガヨモギのフランス語名「absinthe(アブサン)」に由来するというものです。また、この言葉の語源はギリシャ語の「apsinthion(飲みにくい)」とされ、強い苦味を持つことから名づけられたとも言われています。一方で、ニガヨモギの花言葉が「不在」であることと、「absence(アブセンス)」という英語の「不在」という言葉の類似性から、アブサンには「存在しないもの」という意味があるとも考えられています。
製造禁止が決まった際、「まるで名前が運命を決めていたかのようだ」と語られた逸話もあり、禁断の酒としての神秘性をさらに深めています。
アブサンが禁断のお酒といわれていた背景
19世紀のフランスでアブサンはワインより安価であったことから、労働者から芸術家まで幅広く愛飲されました。しかし、その強いアルコール度数と、ニガヨモギに含まれるツヨンという成分が問題視されます。ツヨンは幻覚や神経障害を引き起こすとされ、多くの中毒者や犯罪者を生んだと噂されました。やがて20世紀に入ると各国で販売を規制する動きが見え始め、20世紀初頭には発祥地のスイスでも規制されます。
アブサンは「狂気をもたらす酒」と恐れられ、一世を風靡した後、姿を消しました。しかし1981年にWHOがツヨンの安全基準を見直し、再び合法化され、2005年にはスイスでも正式に解禁されました。
偉大な芸術家に愛飲されていたアブサン
感性やインスピレーションを引き出す霊酒として、ゴッホ、ゴーギャン、モネ、ロートレック、ピカソなどの芸術家に愛飲されました。「グリーンの詩神、聖女のため息、妖精のささやき」とたたえられましたが、人によっては破滅に導いていったお酒でもあります。それが幻覚成分ツヨンのせいなのか、単なるアルコール中毒だったのかは定かではありません。
ここではアブサンの虜になった芸術家達をご紹介していきます。
■ゴッホ
カフェで出されたアブサンを美しい色彩で描いています。かなりのアブサン中毒だったと知られており、自画像を描くのに邪魔だと感じた左耳を自ら切断したのはアブサンの飲み過ぎだったとの逸話が有名です。最後はフランスの精神病院に入院し、猟銃自殺をしたそうです。
■太宰治
日本の作家である太宰治は後に入水自殺をします。太宰がアブサンを常飲していたという記録はありませんが、小説『人間失格』の中に以下のような記述があります。
「飲み残した一杯のアブサン。自分は、その永遠に償い難いような喪失感を、こっそりそう形容していました。絵の話が出ると、自分の眼前に、その飲み残した一杯のアブサンがちらついて来て、ああ、あの絵をこのひとに見せてやりたい、そうして、自分の画才を信じさせたい、という焦燥にもだえるのでした」
■パブロ・ピカソ
スペイン画家のピカソ。大英博物館にはピカソがデザインしたアブサンスプーンが展示されています。
■エドガー・ドガ
フランスの画家であるエドガー・ドガ。アブサンの絵で最も有名な「アブサンを飲む女」を描いた画家です。
多くの人の不幸を生みつつも文芸・芸術に貢献したのですね。
アブサンの種類・おすすめ銘柄

多くの芸術家に愛されてきたアブサンは、その独特の香りや風味が特徴ですが、現在ではどのような銘柄や種類があるのでしょうか。
ここからは、アブサンのおすすめの銘柄をご紹介いたします。
ペルノ・リカール「ペルノ アブサン」
19世紀に最初に商品化された元祖アブサンで、伝統的な製法で復活した銘柄です。アブサン初心者から愛好家まで幅広くおすすめできます。透明感のあるエメラルドグリーンの色合いが特徴で、アニスのほのかな甘い香りと、しびれるような口当たりが楽しめます。強烈なインパクトの後に、蜂蜜のようなほのかな甘みが広がります。
流通価格 | 約4,000~5,000円 |
---|---|
アルコール度数 | 68% |
生産地 | フランス |
ディスティルリ・エ・ドメーヌ・ド・プロヴァンス「アブサント55」
アルコール度数がやや低めで、アブサン初心者にも適している銘柄です。香りは、アニスやフェンネルなどのハーブ感と砂糖由来の甘みが強く感じられ、比較的飲みやすい味わいです。
流通価格 | 約3,000~4,000円 |
---|---|
アルコール度数 | 55% |
生産地 | フランス |
ディスティルリ・ド・プロヴァンス「グランド アブサント」
伝統的な製法で作られたアブサンで、ハーブの風味をしっかりと楽しみたい方におすすめです。1912年まで南フランスのプロヴァンス地方で用いられていた、最も古く伝統的な製法の一つを受け継ぎ、蒸留酒にニガヨモギやレモンバームなどのハーブを加えて作られています。
流通価格 | 約3,000~4,000円 |
---|---|
アルコール度数 | 69% |
生産地 | フランス |
グリーン・ツリー「アブサン チェコ」
鮮やかなライトグリーンの色味が特徴で、ジュースなどで割ると綺麗なカクテルに仕上がります。価格もお手頃で、コストパフォーマンスに優れています。スパイスが効いたニガヨモギの味わいが特徴で、ガツンとした口当たりを楽しめます。
流通価格 | 約3,000円以下 |
---|---|
アルコール度数 | 70% |
生産地 | チェコ |
ポール・デヴォワール「アブサン・ラ・シャルロット」
ポール・デヴォワール社は伝統的な製法と高品質な製品で定評があり、アブサン愛好家にとって注目すべき銘柄です。100年以上の歴史を持つ老舗メーカーが19世紀のレシピで製造。無添加で、ハーバルな香りと苦味、アニス由来の自然な甘みが特徴。白濁の美しさも魅力です。
流通価格 | 4,000円~6,000円 |
---|---|
アルコール度数 | 55% |
生産地 | フランス |
アブサンを選ぶ際のポイント
アブサンはブランドごとにアルコール度数や味わい、色や香りが異なります。強い苦味やハーブの香りが特徴的なものから、まろやかなものまで様々です。ここでは、飲み方別についてお勧めのアブサンをご紹介します。自分の好きな飲み方で選んでみましょう。
ストレートで飲む場合
アブサンをストレートで楽しむなら、アルコール度数が比較的低めのものや、ハーブの風味がバランスよく調和した銘柄がおすすめです。例えば、「ペルノ アブサン」や「アブサント55」は、アニスやニガヨモギの香りが豊かで、そのままでも楽しみやすい味わいです。
ストレートで飲む場合、アブサン特有の強い苦味とハーブの複雑な風味をダイレクトに感じられるため、飲み慣れていない方には少量から試すのが良いでしょう。また、グラスを冷やしておくとアルコールの刺激が和らぎ、より飲みやすくなります。
ストレートは、アブサン本来の味わいを深く理解するのに適した飲み方ですが、アルコール度数が高いため、無理せず慎重に楽しむことが大切です。
クラシックスタイルで飲む場合
クラシックスタイルとは、アブサンに冷水を注いで飲む伝統的な飲み方で、「ルーシュ」と呼ばれる白濁現象が特徴です。アブサン1に対して3~5倍の冷水をゆっくり注ぐことで、アルコールの刺激が和らぎ、ハーブの香りや甘みが際立ちます。
このスタイルには、「ペルノ アブサン」や「グランド アブサント」のような、本格的な製法のアブサンがおすすめです。また、専用のアブサンスプーンを使い、角砂糖を溶かして甘みを加えるのも伝統的な楽しみ方です。
クラシックスタイルは、アブサンをじっくり味わいたい方や、初心者でも飲みやすい方法として人気があります。水を加えることで、香りや風味の変化を楽しめるのも魅力の一つです。
ボヘミアンスタイルで飲む場合

ボヘミアンスタイルとは、チェコを中心に広まった飲み方で、アブサンに浸した角砂糖をスプーンにのせ、火をつけてカラメル状にし、それをアブサンに溶かして飲む方法です。このスタイルには、「アブサン チェコ」のようなアルコール度数が高く、スパイシーで刺激的な味わいのものが向いています。
火をつけることでカラメルの甘みが加わり、苦味が和らぐのが特徴です。ただし、燃焼によりアルコールが揮発するため、風味が変化する点に注意が必要です。また、火を扱うため、安全に配慮して楽しむことが大切です。
ボヘミアンスタイルは、見た目にもインパクトがあり、アブサンの独特な世界観を味わうのに最適な方法ですが、伝統的な飲み方ではないため、好みに応じて試してみるのが良いでしょう。
カクテルで飲む場合
アブサンはカクテルの材料としても優れた個性を発揮し、さまざまなアレンジが可能です。アブサンの強い風味とアルコール度数を活かしながら、他の材料と組み合わせることで飲みやすくなります。「スーサイド」や「デス・イン・ザ・アフタヌーン」は、アブサンの特徴を存分に楽しめるカクテルです。
「スーサイド」は、アブサンに冷水とシロップを加えて作るシンプルなカクテルで、クラシックスタイルをアレンジしたもの。
「デス・イン・ザ・アフタヌーン」は、作家ヘミングウェイが愛したとされるカクテルで、アブサンにシャンパンを注いで作ります。シャンパンの爽やかさがアブサンの苦味を和らげることで上品な味わいに。また、柑橘系のリキュールやジュースと組み合わせることで、アブサン特有のハーブの風味を引き立てながら、飲みやすさをアップさせることも可能です。
「アブサン・フラミンゴ」や「グリーン・フェアリー」は、果実の甘みや酸味とアブサンの苦味が絶妙に調和するカクテルとして人気があります。カクテルで楽しむ場合は、比較的クセの少ない「アブサント55」や「グランド アブサント」などの銘柄を選ぶといいでしょう。
カクテルはアブサンを手軽に楽しめる方法の一つで、初心者にもおすすめです。アブサンの独特な風味を生かしながら、新しい味わいを発見できるのが魅力です。
アブサンのおすすめの飲み方
アブサンを楽しむには、さまざまな飲み方があります。伝統的な方法から、気軽に飲みやすく楽しむアプローチまで、あなたの好みに合わせた方法を選んでみてください。ここでは、アブサンの魅力を引き出す2つのおすすめの飲み方をご紹介します。
アブサンの伝統的な飲み方
アブサンの最も伝統的な飲み方は「フレンチ・リチュアル」と呼ばれる方法です。まず、グラスに15〜30ミリリットルのアブサンを注ぎます。次に、アブサン専用の穴あきスプーンをグラスの縁に置き、その上に角砂糖を1個のせます。そこへ冷えた水を少しずつ注ぎ、角砂糖をゆっくり溶かしながらアブサンと水の比率が1:3〜1:5になるよう調整します。
この過程で、アブサンが透明な緑色から乳白色に変化する「ルーシュ」と呼ばれる現象が起こり、香りが広がり、味わいがまろやかになります。本格的なバーでは、水を落とすための「アブサン・ファウンテン」という専用のディスペンサーを使用することもあります。専用の道具がなくても、穴あきのおたまや茶こし、大ぶりの氷を使って代用できます。
苦味を和らげたい場合は砂糖を加えますが、甘めのアブサンなら省略しても構いません。アブサン本来の香りや風味を存分に楽しめるこの方法は、初心者から愛好家まで幅広く親しまれています。
炭酸飲料で割る
アブサンを炭酸飲料で割ると、爽やかで飲みやすい味わいになります。ソーダで割ると、アブサン特有のハーブの香りが引き立ちつつ、すっきりとした後味になります。軽やかでリフレッシュ感があり、食前酒としても最適です。
コーラで割ると、甘みとスパイス感が加わり、まろやかでコクのある風味に変化します。アニスやリコリスのニュアンスが程よく調和し、個性的なカクテルになります。
ジンジャーエールで割ると、ピリッとした辛味とハーブの複雑な香りが合わさり、スパイシーで奥深い味わいが楽しめます。炭酸の刺激がアブサンの強さを和らげ、初心者にも飲みやすくなるのが魅力です。お好みでレモンやライムを加えると、さらに爽快感が増し、バランスの良い一杯になります。
アブサンのおすすめカクテル
アブサン・グレープフルーツ
材料 | 容量 |
---|---|
アブサン | 30ml |
グレープフルーツジュース | 90ml |
炭酸水 | 30ml |
氷 | 適量 |
グラスに氷を入れ、アブサンとグレープフルーツジュースを注ぐ。 軽くかき混ぜ、最後に炭酸水を加えて完成。
■味わいや香り
グレープフルーツの爽やかな酸味とアブサンのハーバルな風味が絶妙にマッチ。さっぱりとした飲み口で、飲みやすい。
■おすすめポイント
フルーティーで爽快感のあるカクテル。アブサン初心者でも楽しみやすく、食前酒としても最適。
アースクエイク(地震)

材料 | 容量 |
---|---|
アブサン | 30ml |
ブランデー | 30ml |
冷水水 | 15ml |
グラスにアブサンとブランデーを注ぐ。軽くかき混ぜた後、好みに応じて少量の冷水を加える。
■味わいや香り
アルコール度数が高く、アブサンの強いハーブの香りとブランデーの芳醇なコクが際立つ。刺激的で力強い味わい。
■おすすめポイント
19世紀の作家・画家たちが愛したカクテル。名前の通り強烈な飲み応えが特徴で、しっかりとしたお酒を好む人におすすめ。
アブサン・グラスホッパー

材料 | 容量 |
---|---|
アブサン | 30ml |
生クリーム | 30ml |
チョコレートシロップ | 少々 |
シェーカーにアブサン、ミントリキュール、生クリームを入れます。氷を加え、しっかりとシェイクします。
冷えたグラスに注ぎ、上からチョコレートシロップを軽く垂らして飾ります。
■味わいや香り
アブサン・グラスホッパーは、アブサンの独特のハーブの風味に、ミントの爽やかさとクリーミーな甘さが絶妙に調和したカクテルです。
チョコレートシロップのほろ苦さが加わり、全体の味わいに深みとリッチさが生まれます。
■おすすめポイント
アブサン・グラスホッパーは、アブサンの強い個性を活かしつつ、クリーミーで甘いミントリキュールと調和させたカクテルです。アブサン初心者にもおすすめで、デザート感覚で楽しめる一杯です。
飲まないアブサンを売るなら
もし、自宅にいらなくなった未開封のお酒があれば、買取システムを利用して手放すことを検討してみてはいかがでしょうか。特に未開封の希少なお酒は、思わぬ高値で取引されることもあります。今回ご紹介したアブサンも、希少性が認められれば買取に出すことで新たな価値が見出されるかもしれません。
弊社では、査定士が丁寧に査定を行い、店頭、宅配、訪問など、あなたのご都合に合わせた方法で対応いたします。手放す前に、一度査定を依頼してみることをおすすめします。
アブサンの買取実績
ファイブニーズのアブサン買い取り実績は以下の通りです。買取日 | 買取商品 | 買取価格 |
---|---|---|
2024年8月2日 | 辰巳蒸留所 アルケミエ 犬啼 H-アブサン 58% 500ml | ¥4,100 |
酒販売の免許を保有している弊社なら、中間業者を挟まずに直接各ルートに卸すことができます。さらに、全国に販路を持っているため、高確率で欲しい方を見つけ出すことができます。
こうした理由から、高額買取が可能となっています。
まとめ
今回は、禁断の酒とも呼ばれるアブサンについて詳しくご紹介しました。その魅力は、強烈なハーブの香りや独特な味わいにあります。またアブサンには多くの種類があり、それぞれの飲み方で新たな発見があるでしょう。
ぜひ、自分にぴったりのアブサンを見つけて、奥深い世界を堪能してみてください。
また、自宅に未開封のアブサンがあり、飲む機会がなさそうであれば、一度買取価格の査定を依頼してみませんか。使わずに眠っているお酒を新たに活用できるかもしれません。