ブルゴーニュ利き酒騎士団
今回の豆知識のテーマは『ブルゴーニュ利き酒騎士団』です。
『ル・コンフレリ・ド・シュヴァリエ・デュ・タストヴァン』、日本語で『ブルゴーニュ利き酒騎士団』という団体がいることをご存知でしょうか?
私はこの名前を初めて聞いた時、あまりにもの興味に身震いをしてしまいました。
今回はこの団体についてご紹介していきます。
ワイン好きでない方にも、是非とも読んでいただきたいと思います!
シュヴァリエ・デュ・タストヴァンとは?
ル・コンフレリ・ド・シュヴァリエ・デュ・タストヴァン、通称シュヴァリエ・デュ・タストヴァンとは一体どんな団体なのでしょうか。コンフレリとは主に宗教、慈善関係の団体を意味し、この場合はワインの普及推進団体を指します。
シュヴァリエは騎士(英語のナイト)、タートヴァンはワイン試飲用の小さなカップです。
ブルゴーニュでは銀製で、光を反射させてワインの色を見るために、カップの底に凹みがつけてあります。
この団体は、ワイン王国フランスの、数多いワイン産地に存在する普及団体の中でも、国際的によく知られる格調高い、憧れのブルゴーニュのワイン・ソサエティーなのです。
そして叙任される人の条件は、「ブルゴーニュ・ワインを心から愛していて、大勢の方達にその素晴らしさを広めること」。
会員の数は、世界中に約11,000名をもち、フランス人約50%、次いでアメリカ人約20%、日本人を含むその他が30%というメンバー構成です。
会員の職業、経歴は多種多彩で、国家元首、政治家、外交官、軍人、宇宙飛行士、企業家、芸術家、音楽家、俳優、医師から、ワイン取引業者、料理人、ソムリエに至るまで、それぞれの分野で活躍するブルゴーニュワイン愛好家の男女が顔を揃えます。
会員2名の推薦と書類審査によって会員になることができます。
日本人は現在約200名位が叙任しており、その叙任はソムリエさんたちの中でも羨望の的です。
誕生歴史
この団体の歴史は古く、ジョルジュ・フェヴレとカミーユ・ロディエという2人のすぐれた人物の提唱によって、1934年に創立されました。当時、世界はまだ大恐慌の後遺症から立ち直れず、特にヨーロッパは、今にも戦争になりそうな怪しい雲行きでした。
当然ワインの売れ行きは極端に悪く、加えて皮肉にも1934年のぶどうの収穫量が非常に多かったため、ブルゴーニュの酒蔵は在庫でいっぱいになってしまいました。
そのような状態のなかジョルジュとカミーユの2人は相談して、『誰も我々のワインを欲しがらないなら、いっそ友達を呼んで一緒に飲んでしまおう』ということになりました。
そんな破れかぶれの状況から、ニュイ・サン・ジョルジュの酒造で記念すべき第一回の集会が開催されました。
そのとき以来、この団体はブルゴーニュ地方のワインだけでなく、古い歴史、すぐれた文化、美味しい郷土料理、そして何よりも陽気で人情味豊かなフォークロアの紹介に力を注いできたのです。
優秀なブルゴーニュワインの認定
シュヴァリエ・デュ・タストヴァンの重要な定期活動の中に、『タストヴィナージュ』という、優秀なブルゴーニュワインに称号を与える仕事があります。これは、ワインの生産者およびネゴシアンから提出されたワインのサンプルを試飲して、規定以上の品質と認めたワインに、騎士団お墨付きの特別な称号『タストヴィナージュ』を与えます。
このシステムは、高品質なブルゴーニュワインを世界に広めるため、1950年より実施されているもので、『シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ』に集まった250名以上の審査員により審査されます。
審査員は、政府の公正取引関係の役人から醸造学者、レストラン経営者、ワイン・テースティングに造詣の深いアマチュアなど、主に外部の人々250人が務めます。
公平に審査され合格したワインには、認定年、認定番号、認定スタンプの付いた特別のラベルが貼られます。
この試飲会は年2回行われ、春には赤ワイン、秋には白ワイン、スパークリング・ワイン、ボジョレーが審査されます。
こういう形でブルゴーニュワインの品質向上を後援しているのです。