焼酎の度数はどう決まる?度数ごとの飲み方やおすすめ銘柄も紹介
焼酎の度数に違いがあるのはどうして?
焼酎では20度や25度の商品を多く見かけますが、それ以外にずっと高い度数もあります。焼酎の度数に違いがあるのはどうしてなのでしょうか? ここでは、焼酎の度数の決まり方や、他のお酒との違いについて見てみましょう。
焼酎の度数の決まり方
焼酎は芋や穀類などの原料を酵母で発酵させ、さらに蒸留という工程を経て造られるお酒です。蒸留することで発酵が進み、アルコール度数が高くなります。蒸留したあと水などを一切加えない原酒は37〜44度ぐらいになるのが一般的です。 酒税法では焼酎の度数について決まりがあり、「連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)は36度未満」「単式蒸溜焼酎(乙類焼酎)は45度以下」と定められています。 連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)はサトウキビなどを原料に、連続して蒸溜する焼酎で、クセのない味わいでコストの安い焼酎です。 一方、単式蒸溜焼酎(乙類焼酎)は昔ながらの製法で造られる焼酎で、芋焼酎や米焼酎、麦焼酎など「本格焼酎」と呼ばれるものを含みます。 40度前後まで度数が上がった原酒はそのまま販売されるものもありますが、加水により度数が調整されているものがほとんどです。度数が決まるのは加水の割合で、加水が多いほど度数は低くなります。 同じ原酒でも、加水の割合によって味わいが変わるもの。焼酎造りでの加水は、香りや味わいのバランスを整えるために重要な工程です。そのため、蔵元ごとにこだわりの水を使って加水が行われています。 酒税法の規定で度数の上限は定められていますが、市販されている焼酎を見ると、そのほとんどが20度か25度です。特に多くの地域では25度が定番になっています。加水の割合によって他の度数にすることは可能ですが、どうして20度と25度が多いのでしょうか? 次の項目で詳しく説明しましょう。20度と25度の商品が多い理由
流通している焼酎に20度か25度の商品が多い理由は、現在の酒税法で税率の基準となるアルコール度数が20度であることが理由にあげられます。 同法は、基準となるアルコール度数20度より低いものには一律同額の税を課すもの。しかし、度数が基準を超える場合は1度超えるごとに一定の税額が加算されます。そのため、基準の20度にとどめた商品が多いというわけです。 また、昭和28年に酒税法が改正される前の基準は「26度未満」と定められていたため、当時は現在と同じ理由で25度の焼酎が主流でした。そのため、改正されたあとも消費者になじんでいた25度がそのまま残っているというのが、25度が多い理由です。 また、一般的に消費者に好まれる度数が20〜25度であるということも大きな理由の一つといえるでしょう。同じ商品でも20度と25度がある
焼酎を選んでいると、同じ商品でも20度と25度があるのを見かけことがあります。これにはいくつかの理由があり、消費者のニーズに合わせているというのが一番の理由です。 お酒が弱い方や軽めの味わいを好む方には20度、より原酒に近く、飲みごたえある味わいを求める方には25度というように、幅広いニーズに応えているわけです。 20度の商品はコストも安く、より手頃な焼酎を求める方の需要に応えるというのも理由といえるでしょう。 また、地域的な需要も理由の一つです。多くの地域では25度が主流ですが、宮崎県や大分県では20度の焼酎が古くから好まれています。それに合わせ、各県の蔵元が県内向けには20度、県外向けには25度というように2種類製造しているというわけです。他のお酒との違い
焼酎は20〜25度が主流ですが、それ以上の度数が高い銘柄もたくさんあります。15度前後の日本酒や5度前後のビールと比べると度数が高いのが特徴ですが、これは蒸留酒と醸造酒という、製法の違いです。 日本酒やビールなどの醸造酒は原料を麹菌や酵母でアルコール発酵させたもので、焼酎のようにその後の蒸留を行いません。アルコール生成の働きが止まり、アルコール度数は22度程度が限界です。 一方、醸造後に蒸留を行う蒸留酒はお酒を熱してアルコール分を蒸発させて冷却し、再び液体に戻します。度数とパーセントはどう違う?
焼酎や日本酒はアルコールの強さについて度数で表示されてますが、ワインやビールはパーセントで表されています。 度数もパーセントも同じ意味で、表現が違うだけです。アルコール度数20度の焼酎と25%のワインは、アルコールの強さは同じということになります。度数ごとの美味しい飲み方
焼酎の度数ごとに、最も美味しく飲める飲み方があります。好みの飲み方があれば、それに一番合う度数の焼酎を選ぶのがおすすめです。 20、25、40度の3つで、それぞれの美味しい飲み方を見てみましょう。
20度はロックかストレートで
20度は酒造こだわりの仕込み水を使って20度まで度数を低く調整しているため、軽やかな味わいが特徴。そのままロックかストレートで飲むのがおすすめです。 アルコール度数が高いお酒を水割りやお湯わりにする場合、使う水によっては味わいが変わってしまうもの。20度をそのままストレートはロックで飲めば、本来の味わいを損なうことなく楽しめます。25度はお湯割りがおすすめ
25度の場合は焼酎6割、お湯4割の「ロクヨン」と呼ばれるお湯割りがおすすめです。度数が日本酒と同じぐらいになり飲みやすく、原料の香りや味わいが際立ちます。 食事と一緒に飲む場合はお湯と半々にするのがおすすめ。原料の味わいが主張せず、度数も低くなって飲みやすくなるでしょう。 焼酎のクセが苦手、焼酎が初めてという方には、焼酎4割、お湯6割にすると飲みやすくなります。お湯割りの場合、グラスには先にお湯を入れましょう。グラスが温まるだけでなく、そのあとに焼酎を注ぐことで自然に混ざり、味が均一になります。 暑い季節は、ミネラルウォーターなどで水割りにすると美味しく飲めるでしょう。40度は水割りかソーダ割り
本格焼酎の原酒などでは40度と高い度数の銘柄もあります。お酒に強い方や原酒本来の味わいを楽しみたい方は、ストレートで飲むのが一番でしょう。 あまりお酒に強くないけど原酒を味わいたいという方には、ソーダで割るのがおすすめです。飲みやすくなるうえに、炭酸によって本格焼酎の香りが際立ち、香りと味わいの両方を堪能することができます。20度の焼酎でおすすめの銘柄
ここからは、度数ごとのおすすめ銘柄を芋焼酎、麦焼酎、米焼酎ごとに厳選して紹介しましょう。 まずは20度の焼酎でおすすめの銘柄を紹介します。
芋焼酎
芋焼酎は独特な香りがあり、芋の甘みが感じられる味わい深い焼酎です。米焼酎や麦焼酎と比べるとクセのあり、それが人気のひとつでもあります。 20度の焼酎は宮崎県に多く、軽くて飲みやすいうえに、価格も手頃なため人気です。その中から、軽い度数ながらもコクがある黒霧島を紹介します。霧島酒造 黒霧島
大正時代に創業者によって初蔵出しされた伝統のある銘柄です。創業当時の黒麹仕込みの味わいを、最新鋭の設備と当社独自の仕込みで再現。原料には九州産さつまいも「黄金千貫」と霧島連山の育む清冽な地下水を使用しています。トロリとした甘みとキリッとしたキレの良さが特徴です。 黒霧島は25度の商品もありますが、20度はさっぱりとした味わいが高い支持を受けています。麦焼酎
麦焼酎は香ばしい香りで、クセがない口当たりの良さが特徴。初心者や、焼酎が苦手な方でも飲みやすい焼酎です。こだわりをもって造られた長崎県の麦焼酎を紹介しましょう。大島酒造 泥亀
「焼酎が苦手な女性でも飲める焼酎」をコンセプトに作られた長崎の焼酎です。一次仕込み、二次仕込みともに大麦のみを原料にしています。 独自の製法で熟成させた麦焼酎の原酒を、さらにコニャックに使用したオーク樽で1年近く熟成。こだわりの20度で瓶詰めしています。口当たりがまろやかで、ほのかな樽の香りが心地よい焼酎。ロックでゆっくり味わいたい逸品です。米焼酎
米焼酎はすっきりとして、米の香りとコクがある味わいが特徴です。米の甘味やうまみが感じられ、日本酒が好きな方に好まれます。 20度のおすすめは、大分県のプレミアムな米焼酎「耶馬美人」です。旭酒造 耶馬美人
耶馬美人は昭和10年の創業以来職人による手造りを貫き、1本1本丁寧に造られています。そのため生産量は限られており、年間で一升瓶6万本ほど。県外出荷は1割未満という希少な焼酎で、幻の焼酎とも言われています。 原料の米を厳選して一年で一番寒冷の時期に仕込み、低温発酵したあとゆっくり蒸留。さらに熟成させるなど、吟味を重ねて丁寧に醸している逸品です。 キメの細かいまろやかな風味とさわやかな喉越しで、飲み飽きない美味しさ。ストレートで味わうのがおすすめです。25度の焼酎でおすすめの銘柄
市販されている焼酎の多くが25度で、最もポピュラーな度数です。こちらも焼酎の種類ごとにおすすめを紹介しましょう。
芋焼酎
芋焼酎といえば鹿児島県。その中でも種子島はさつまいもの栽培に適しています。その中でもとりわけ甘い安納芋を原料にした、25度の芋焼酎を紹介しましょう。種子島酒造 黄金安納
種子島の自社農園で育てた安納芋と種子島特産の「白豊芋」をブレンドした芋焼酎です。原料はすべて減農薬・有機栽培で栽培。割り水には約3千年前の海底から汲み出した天然地下水を使用しています。 安納芋と白豊芋、それぞれの特徴を生かしたほどよい甘みで、まろやかな風味に仕上がった逸品です。 特有の甘い香りやうまみを堪能したいときはストレートがおすすめ。ロックにすればより甘みを感じる味わいになります。お湯割りにすればさらに飲みやすく、優しい甘みが堪能できる焼酎です。麦焼酎
25度の麦焼酎は、鹿児島県の神の河をピックアップ。長期熟成で、焼酎には珍しい琥珀色をしているのが特徴です。薩摩酒造 神の河
鹿児島県は芋焼酎で有名な土地ですが、薩摩酒造は芋焼酎だけでなく麦や米、そばなど幅広い原料で焼酎造りをしています。 神の河は二条大麦100%を原料に、単式蒸留で仕上げた原酒をホワイトオーク樽で3年以上貯蔵。ふくよかな香りとまろやかな味わいに仕上げています。 25度と高めな度数ながらも甘くて飲みやすく、ロックやソーダ割りなど幅広い飲み方によく合います。 より軽い味わいを追求した、20度の「神の河Light」も販売され、毎日気軽に飲める焼酎としておすすめです。米焼酎
25度の米焼酎の中でもおすすめは、熊本県の吟香鳥飼です。400年にわたる歴史を持つ老舗が手がけるのは、この吟香鳥飼のみ。ひとつの商品に力を注ぎ、高品質な焼酎に仕上げています。鳥飼醸造 吟香鳥飼
鳥飼酒造は、熊本県人吉市で江戸時代から醸造酒や焼酎を造り続けてきた老舗です。現在ただ一つ製造している吟香鳥飼は、精米歩合58%まで米を磨く吟醸麹の製法が特徴。蔵元が独自に開発した製法で、他の米焼酎にはない華やかな香りを生み出しています。 甘みのあるまろやかな味わいで、焼酎が初めての方でも飲みやすい焼酎です。 芳醇な香りやフルーティーな味わいを堪能するには、ストレートかロックがおすすめ。ソーダ割りにすれば香りが引き立ち、一味違う美味しさが味わえます。40度以上の焼酎でおすすめの銘柄
40度以上の焼酎は加水などをしないほぼ原酒の状態で、焼酎本来の味わいを楽しめます。原料のうまみや強い香りを堪能できるのが特徴です。
芋焼酎
40度以上の芋焼酎は、鹿児島県の「天使の誘惑」を紹介します。世界的権威の酒類コンペティションである「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)では、2014年に本格焼酎で初の最高金賞を受賞している銘柄です。西酒造 天使の誘惑
鹿児島県産のさつまいも「黄金千貫」を白麹で仕込み、 7年以上オーク樽で長期熟成させた焼酎です。何年もの試行錯誤を積み重ね、「芋焼酎は長期熟成には向かない」という常識を打ち破りました。 ワインやウイスキーなど長期熟成を要するお酒は、熟成中にアルコール分が蒸発して生産量が目減りするもの。これを「天使の取り分」と表現しますが、「天使の誘惑」という名前はこの言葉に由来します。 焼酎というよりはウイスキーの領域で、日本のシングルモルトともいうべきお酒です。薄い琥珀色で、上品な甘い香り、とろみのある独特の口当たりが堪能できます。 重厚な味わいで長い余韻が残る焼酎で、ロックでじっくり味わいたい逸品です。麦焼酎
40度以上の麦焼酎では、長期熟成の名酒「百年の孤独」を紹介します。明治18年創業の老舗が手がける本格焼酎です。黒木本店 百年の孤独
麦焼酎の原酒をホワイトオークの樽で長期熟成させた焼酎です。熟成期間が3年、4年、5年という3種類の原酒をブレンドすることで、味わいに深みを持たせています。 淡い琥珀色で、他の焼酎にはない樽由来の森林のような力強い香りが特徴。40度と高い度数ながらアルコールの強い刺激はなく、まろやかな味わいが楽しめます。 麦の豊かな風味やとろりとした喉越しを味わうには、ストレートかロックがおすすめ。お湯割りにすれば深いコクが生まれ、複雑に絡み合う香りや重厚な味わいを堪能することができます。米焼酎
40度の米焼酎は、高橋酒造の白岳を紹介します。熊本県・人吉地方の名産品である「球磨焼酎」を代表する銘柄で、ロングセラーを誇る焼酎です。高橋酒造 白岳
熊本県の球磨焼酎は、薩摩焼酎や琉球泡盛などとともに地理的表示指定を受けている世界的なブランド。白岳は伝統的な球磨焼酎の製法で造られています。 厳選された米と良質な球磨川水系の地下水で丁寧に醸造。焼酎独特のクセや雑味を取り除き、まろやかさを出すため減圧で低温蒸留させています。 原酒に近い濃厚な味わいで、水割り、お湯割りがおすすめです。お湯割りでは湯気とともに米焼酎特有の華やかな香りが立ち上がり、お湯の温かさで焼酎のうまみが広がります。味わい深くなり、喉越しもよりマイルドになるでしょう。まとめ
焼酎の度数が20度や25度が主流なのは、酒税法の規定や消費者のニーズなどが理由です。特に25度は焼酎の美味しさを味わうのに最適で、広い地域で普及しています。 ストレートやロック、ソーダ割りなど幅広い飲み方で楽しめるのが魅力。焼酎が初めての方は軽い味わいの20度から試すのもよいでしょう。焼酎に慣れてきたら、40度前後の原酒に近い味わいを堪能するのもおすすめです。