シングルモルトのロールスロイス? 王道ウイスキー「マッカラン」
「シングルモルトのロールスロイス」って何だか分かりますか?
ロールスロイス…それは言わずと知れた高級車の代名詞、であると同時に高品質の代名詞でもあります。
いわゆる高級、高品質の王道なのです。
お酒にも王道と呼ばれているものがありますが、ウイスキーの王道と言えば「マッカラン」は外せません!
今回はシングルモルトウイスキーの王道と呼ばれる「マッカラン」について、ご紹介します!!
そもそもシングルモルトって?
1つの蒸留所で大麦の麦芽(モルト)を100%使用して作られ、それぞれの蒸留所で瓶詰めされている製品のこと。
日本酒の地酒が酒蔵ごとに味の違いがあるように、シングルモルトは蒸留所ごとに豊かな個性を持っている。
そういった個性を楽しむことができるのがシングルモルトなのです!
マッカランとは
当初ウイスキーは薬酒として修道院が独占敵に製造していました。しかし、16世紀に宗教革命が起こり修道院が解散します。
この出来事により蒸留技術が民間に広まり、余った大麦の換金および保存の手段としてウイスキーの生産が盛んになりました。
この当時のウイスキーは熟成の工程がなく、現在と違って蒸留したての無色透明な液体だったそうです。
1644年、スコットランドはウイスキーを課税の対象にすることを始めました。
1725年には対仏戦争の戦費捻出のためにウイスキーの課税を大幅に強化、これに反発した生産者は密造という手段に出ます。
密造はハイランド地方の山奥で盛んに行われ、その品質は正規業者をも上回っていました。
ウイスキーの製法の多くはこの密造時代に確立されました。
生産者は販売の時期を選ぶことができません。
仕方なく、ウイスキーを販売するまで樽に入れて保管していました。
すると偶然にも長期間樽の中に入れられたお酒が「琥珀色の芳醇でまろやかな香味をもつ液体」へと変貌を遂げることを発見し、蒸留したウイスキーを樽の中で熟成させる工程が製造法に加わることになりました。
また、麦芽を乾燥させるための燃料には、他に選択がないという理由でピート(泥炭)が使われ、さらに小さな単式蒸留器(ポットスティル)を用いて2回蒸留する製法も、この時代に考案されています。
その後酒税法が改正し、ウイスキーの税率が引き下げられ1824年、スコットランド北部のハイランド地方で「蒸留ライセンス」を取得、2番目の政府登録蒸留所としてマッカラン蒸留所が認められました。
マッカラン蒸留所は英国屈指の急流として知られるスペイ川の流域にあり、この地が昔の聖コロンバの丘を意味する「マ・コラム」と呼ばれており、それが「マッカラン」になったというのが名称の由来だと言われています。
そこは緑が豊かで古い鉄道の遺跡があり、今も昔のまま変わることなく美しい風景が残っているそうです。
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マッカランのこだわり
大麦、水、イースト菌のみを使用し、着色料などは一切使いません。
大麦は指定された農家の畑で作られたもので、特に栽培が難しいとされる「ゴールデンプロミス」という品種のみを使用していました(現在はいくつかの品種を混合)。
水はスペイ川のほとりにある長い間濾過されてきた、軟らかくミネラルを多く含んだ泉の湧水を使用しています。
そこからつくられる蒸留液ですが、最初と最後に出てくる蒸溜液には十分な成分が含まれていないため、中間に抽出される厳選されたわずか16%だけしか使用しないこだわりよう。(これをファイネストカットと呼びます)
蒸溜に使われる蒸溜釜も、マッカランのこだわりのひとつです。
スペイサイドで最も小さいといわれている銅製の蒸溜釜で丁寧に蒸溜することによって、香りの成分を極限まで高めているのです。
そして最大のこだわりは、オールシェリー樽貯蔵です。
マッカランの貯蔵熟成に使用されるヨーロピアンオーク樽とアメリカンオーク樽は自社で管理するスペイン北部の森で選定し、伐採。
その後1年もの間天日で乾燥し、南部にあるヘレス地方でシェリー樽に製樽されます。
さらに1度シェリー酒の蒸溜所に貸し出され、専用のシェリー酒を3年間詰め、シェリーの香りが十分に染み渡った樽のみを熟成させて初めてマッカランの貯蔵樽が完成します。
このように、木材からシェリーのシーズニング(慣らし)まですべてを自社で管理して手間ひまをかけ、マッカラン専用のシェリー樽を作っているのです。
また、ウイスキーの製造責任者と同格の樽管理責任者という役職を置き、熟成に使う樽の品質の徹底的な管理をします。
できあがるウイスキーの味、香り、風味のおよそ60%が樽の品質によって決まることを十分に理解しているからこそなせることです。
原酒は毎年、マッカランの職人たちが熟成状況をチェックし、製品として世に出せる最適のタイミングを図っています。
倉庫には50年を超える原酒も存在し、 原料から製造・貯蔵まで一貫してこだわり抜いています。その独特の甘みと際立った華やかな香りから、ハロッズのウイスキー読本で「シングルモルトのロールスロイス」と讃えられるまでに至ったのです。
マッカランのピックアップ
【ザ マッカラン 30年 ファインオーク】リッチでエキゾチック、複雑なアロマ、オレンジの香りが特徴です。
味はマカデミアナッツ、バニラフレーバー、ウッディ、ブラックチェリー ににたもの。
やわらかく滑らかで、華やかな余韻が非常に長く続きます。
【ザ マッカラン 52年 1946】
第二次世界大戦直後に蒸留された貴重なマッカランです。
現在のマッカランにはほとんど使用されていないピートが主に使われており、個性的なマッカランとなっています。
スモーキーながらも甘い香りが感じられ、やわらかな印象のお酒です。
【ザ マッカラン 1950 レッドリボン】
ナッツや洋ナシの甘い香りから、オレンジ、ハーブなどのさわやかな甘さに変化します。味わいは濃厚なマッカランシェリー。その後、清涼感を持ったピートの余韻が残ります。
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おすすめの飲み方
マッカランはウイスキーらしさが薄く、ワインやブランデーを好んで飲む人に勧められるほど、とてもブドウを強く感じられる不思議なウイスキーです。つまり「ウイスキーらしくないウイスキー」であり、逆に言えばウイスキーが苦手な人でも飲みやすいこと間違いなし!
これからマッカランに挑戦する人も、はじめてウイスキーを飲む人もマッカランはどんな飲み方でも合います!!
ですが、今回は「ストレート」をオススメします!
マッカラン本来の美しい琥珀色、レーズンやカラメル、甘いシェリーを思わせるな華やかな味と香りを楽しむにはストレートが一番です!
また、加水して味や香り変化を楽しむこともできます。
※無理はせずにチェイサー(水)は準備して下さい。
それでもアルコールがきつかった人、ストレートが口に合わなかった人は氷を入れたり、水割りにしたり、ハイボールにしたりと味の変化を楽しみつつ、自分にあった飲み方を研究されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
マッカランは今回ご紹介した以外にもたくさんの種類があります。最近では、ウイスキーの特徴でもある熟成年数表示のボトルをやめ、ウイスキー本来の色の変化によって分けた『1824年シリーズ』を発売しています。
噂によると、世界的なシングルモルトブームで原酒の確保が困難になってきてるとか…。
そんな大人気のマッカランですが、日本向けに造られているものは、日本人向けに味が改良されています。
安いものだと3000~4000円くらいで買えるので興味が湧いた方はぜひ「シングルモルトのロールスロイス」を試してみて下さい!